平成27年度 東京都立日比谷高校 推薦選抜にもとづく選抜 小論文―解答への導き&模範解答―
平成27年度 東京都立日比谷高校 推薦選抜にもとづく選抜 小論文
解答例2
解答例3
解答への導き
平成27年度の問題は、日本ならびに東京における観光立国推進政策に関する問題が出題された。まずは提示された各資料を確認しよう。
資料1: 「観光立国推進基本方法」から抜粋された観光立国推進政策の企図と
目標が提示されている。
図1: 平成24年度の各国の外国人旅行者受入人数、
図2: 平成24年度の国際観光収入・支出の比較
図3: 日本・東京を訪れた外国人旅行者数、東京を訪れた国内旅行者数の推移表
図4: 外国人旅行者の受入に当たって都民が不足と考える点の割合表
問1 資料1、図1、図2からわかることを、180~200字で説明しなさい。その際、資料1の具体的な文言に触れること。
資料1からは、観光立国を推進する国の「目的や理念」、そしてそれを実現するための「手段や方法」、また「留意すべき点」を読み取ろう。
目的:国内外からの観光旅行の促進による国民経済の発展
理念:観光が国際相互理解の増進とこれを通じた国際平和に果たす役割がある
手段、方法:地域における創意工夫を生かした主体的な取組
国、地方公共団体、住民、事業者等による相互の連携
留意すべき点:国際的視点に立って施策が講ぜられなければならない
図1と図2からはなぜ、日本が観光立国推進政策を実施するのかに対する根拠を見出そう。図1からは先進国のなかで、日本が一番外国人旅行者の受入数が少ないことがすぐにわかる。要するに、日本は先進国のなかでも旅行先として人気がないのだ。それに対して圧倒的な受入数を誇るフランス。ヨーロッパのなかでもとりわけフランスは、文化的・史的価値の高い、芸術品、建造物が多くあり、文化の都として人気が高いのである。
図2からは、日本の国際観光収入がロシア(最低)に次いで低いことがまずわかる。日本に来る外国人旅行者が他国に比べて少ないという事実と合わせて、日本における外国人旅行者が使ったお金も相対的に少なくなることが容易に理解できるだろう。また、交際観光支出も図のなかでは一番少ない。これは、そもそも海外に行く人が少ない、あるいは海外に行ってお金を使う人が少ない、これらの理由で国際観光収支額も最下位となっているのだろうと予測できる。以上のような点を踏まえれば、解答例のような解答を記述することはさほど難しくないだろう。
観光立国推進政策を実施する根拠となる現状を図1と図2から読み取り、その結果、どのような目標や理念をもって観光立国推進政策が実施されることになるかを説明できればよい。あとは、200字という制限のなかでコンパクトにまとめる技術も必要だ。
問2 観光立国推進のために、首都である東京は具体的にどのような取組を推進したらよいだろうか。あなたがアピールしたい東京の魅力を挙げ、あなたの考えを360~400字で説明しなさい。その際、図3、図4であなたの考えの根拠とした箇所を明確にすること。
まずは、図を読み取ろう。図3からは、訪都国内旅行者数は平成16年度以降、ほぼ横ばいで、東京が現状、旅行者数が毎年うなぎ上りのような特別に人気の観光地ではないことを物語っている。また訪日外国人旅行者数も平成20年度以降、浮き沈みが激しい。図4の「外国人旅行者の受入に当たって都民が不足と考える点」については、一目瞭然だ。「言語対応」に都民は圧倒的に不足を感じていることがすぐわかる。
こうした図の読み取りにもとづいて、東京における観光推進政策を行うとしたら、東京のどのような点を魅力に挙げて、どのような推進政策を行うかが問われている。
したがって、考えなければならないのは、
①あなたが考える東京の魅力
②どのような観光推進政策を行うか
の2点である。
①・国内の他地域へのアクセスの簡便さ
・伝統と新しさとが融合している点
・都民の持つ優れたもてなしの気質
などを解答例では挙げた。
ここは、受験生の思案のしどころだし、面白いところ。いろいろ考えてみてほしい。
②図4からすぐにわかるのは、外国人旅行者に対する言語対応の問題だ。したがって、この言語対応の問題を解消するような観光推進政策への取り組みを挙げれば、解答として問題ないだろう。
以上、①、②の点を踏まえて解答を作成できればよい。
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