都立推薦入試小論文道場

都立西・日比谷高校の推薦入試作文・小論文対策を行います。

平成28年度 東京都立西高校 推薦選抜にもとづく作文問題―解答への導き&模範解答―

 

平成28年度 東京都立西高校 推薦選抜にもとづく作文問題

 

次のことばについて、あなたが感じたり思ったりすることを六百字以内で述べなさい。

「人生には二つの道しかない。一つは、奇跡などまったく存在しないかのように生きること。もう一つは、すべてが奇跡であるかのように生きることだ。」
アルベルト・アインシュタイン

 

  

解答例1

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解答例2

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解答への導き

一番のキーワードは「奇跡」だ。この言葉をまずはきちんと定義して、自分の主張を論じていかなければならない。

  
「奇跡」=常識的には考えられない神秘的な出来事。

  
「奇跡」という言葉の辞書的な定義はこうしたものだ。「ありそうもないことが現実に起こること」ぐらいの意味では受験生も意味を把握していたのではないか。スタートとしては、そこから出発してもらっていい。常識=奇跡なんてそうそうあるもんじゃない。ましてや、フツーの日常生活で奇跡なんてない!こうした考え方にたいして、「すべてが奇跡であるかのように生きること」というアインシュタインの言葉を「解釈」することが受験生には求められる。

  
この世界にある奇跡的なことはなんだろうか。この問いについて考えることが、今回の作文を作成するうえで肝要なものとなる。

  
模範解答では、今を生きるわたしが他の誰でもない唯一無二の「私」として存在している点を、奇跡的な事態だと解釈する考え方を示した。また、神様がこの世界を創ったという宗教的な逸話から、奇跡を考える視点を二つ目の解答例として出してみた。

  
「こんな解答、自分じゃ作れないよ…。」まだ何の準備もしていない受験生は、きっとそう思うだろう。でも、訓練すればできるんだな。

  
このような解答を提示できるような観点を備えてもらうために、都立推薦小論文道場では、  
都立西高校推薦専門対策として、受験生には以下のテキストを用いて講義をする。  
池田晶子 『14歳からの哲学 考えるための教科書』トランスビュー

  
都立西高校の推薦作文の問題は、毎年、科学者、文学者、詩人、精神科医らの、ビッグネームの言葉が洋の東西を問わずに出される。

  
そこに通底しているのは、
・人が生きるということはどういうことか
・この世界をどのように見るのか、
・物事を探求するとはどういうことか
(知るということはどういうことか、学ぶというのはどういうことか)、
といった哲学的な問いである。

  
(大人でも答えるのが難しいこのような問いを課してくる都立西高校のレヴェルの高さがみんなにはわかりますか。推薦なめんなよ!(笑))

  
以上のような問いに対して、受験生の皆が参考にするべき最適の手引きが『14歳からの哲学』なのだ。

  
すでにこの本を読んだことがある受験生もいるだろう。池田氏は、自分の頭と言葉だけを使って、素手で哲学の問題に取り組んでみせる数少ない本物の哲学者だ(残念ながら、2007年に46歳という若さで亡くなってしまった)。彼女の言葉や考えの筋道を追うことで、受験生に本物の思考力を体感してもらいたい。物を考えるってのは、こうやるのだ!という実践の本でもあるから、都立西高校の推薦作文対策にはもってこいなのだ。  

都立推薦小論文道場では『14歳からの哲学』から思考のエッセンスを引きだし、受験生にさまざまな観点を身に着けてもらい、作文にアウトプットできる力を養う。

  
訓練すれば、求められている「格」に見「合」う解答は必ず作れる。臆せずにチャレンジしてほしい。

 

 

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平成29年度 東京都立西高校 推薦選抜にもとづく作文問題―解答への導き&模範解答―

 

平成29年度 東京都立西高校
推薦選抜にもとづく作文問題

 
次のことばについて、あなたが感じたり思ったりすることを六百字以内で述べなさい。

「世界は『のっぺらぼう』である。」 (西江雅之

 
解答例

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解答への導き

 
ステップ1.「のっぺらぼう」という言葉のみに囚われ、思考を停止させない。

 
ひとまずこの問題を見て、「なに言ってんだよ!?」という感想を大事にしていい。

 

「のっぺらぼう」という言葉だけに囚われていると何も発想できないだろう。

 
そこで、この一見すると非常識的な言葉に常識的な立場から思考を展開させていこう。

 
まず、この段階がこの問題を解くためのステップ1。「のっぺらぼう」という言葉に振り回されない胆力が必要だ。

 

 
ステップ2.常識の立場から問題を立てる。

 
「のっぺらぼう」というのは表情がないということだ。しかし、この世界には各々の事物がそれらに固有の姿を持って現れているように見える。目の前の机や鉛筆や教科書、外に出れば学校や先生や友達、空や雲や太陽や月がある。世界は「のっぺらぼう」なんかじゃ全然ない。この常識的な考え方から、さらに問いを見つけよう。

 
「のっぺらぼう」とは反対に、世界には様々な事物があって、色や形があるけれども、
これらを私たちはどのように区別しているのか。

 
という問いを立てられるか。この段階がステップ2。

 

 
ステップ3. 自分の考えた問いの文脈で課題文の言葉を解釈する。

 
世界を私たちはどのように区別しているのか。私たちは「あれ」や「これ」といった「言葉」で世界を区別している。

 
すなわち、言語によって世界を分節化しているのだ。

 
すると、「のっぺらぼう」という言葉が表している世界は言語によって区別される以前の、いわば一つの連続した世界の在り方を指す言葉だと解釈できるだろう。常識の立場から問いを立て、自分で解答(言葉によって私たちは世界を区分している。)を導き出し、その解答を足掛
かりにして今度は「のっぺらぼう」という言葉を解釈できるかという段階、これがステップ3。

 
課題文に対して以上のような解釈をすることができたら、最後にこの解釈から自分なりの結論を提示しよう。

 
「世界は『のっぺらぼう』である。」

 
=言語がなければ世界は一つの連続したあり方をしており、そこには区別がない以上、表情もない。

 
→反対に世界は、言語によって分節化され、この分節の仕方は使用される言語(=文化)によって異なる。

 
結論:ものの見方や考え方について、絶対的なものはない。言葉の違いが世界の見え方の違いを生み、この違いを相互に認めて世界の人々と交流していくことが肝要である。

 
以上のような発想法と論述の組み立てを行えば、合格答案を作ることができる。しかし、「そもそもこんな発想ができないよ!」という声も聞こえてきそうだ。

 

今回は具体例の発想の仕方は割愛したが、妥当な解釈や効果的な具体例を挙げるための発想法
は鍛えることができる。

 
そのために【都立推薦入試小論文道場】が存在する。

 
「どう書くか」も重要だが、その前に「何を書くか」だ。今回、模範解答作成者のプロット(作文の骨組み)も掲載しておく。参考にしてもらいたい。

 

 

 

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平成29年度 東京都立日比谷高校 推薦選抜にもとづく選抜 小論文―解答への導き&模範解答―

平成29年度 東京都立日比谷高校 
推薦選抜にもとづく選抜 小論文

 

問題はこちらより。

www.hibiya-h.metro.tokyo.jp

 

 

解答例

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―問―

 
次の枠に囲まれた文章は、平成24年版厚生労働白書にある福祉レジーム(*注1)論を紹介したものである。また図1ジニ係数(*注2)の異なる4つの国について、係数の低い国から高い国を縦に並べ、所得格差に関する国民の意識調査を比較したものであり、図2は各国政府の格差是正に関する国民の意識を比較したものである。更に図3は日本における社会保障の負担と給付のバランスに関する意識調査を表したものである。自由主義福祉国家アメリカ合衆国社会民主主義福祉国家スウェーデン保守主義福祉国家のフランスを取り上げ、
図1、図2の表す内容に触れた上で、下記の福祉レジーム論による3類型を参考に、「これからの日本の社会保障の負担と給付のバランスをどうすべきか」、あなたの考えを540字から600字で述べなさい。

 

―総評―

 
H29年度の問題は例年と異なり大問は1つだけです。

 
しかし、資料分析から課題を発見し、課題に対する解決策を提示するという内容は変わっていません。

 
とはいえ、昨年度H29年度の日比谷の問題は、ここ数年で一番難しかったと思います。

 


というのも、社会保障制度を日本の制度についても、学校の授業ではそこまで詳しく学習しないからです。社会保障というものがそもそもよくわかっていないため、「所得」と「社会保障の負担と給付のバランス」との関係が結びつかない子もいました。

 
この問題に解答するためには、資料の分析をコンパクトかつ的確に行う必要があります。

 
まず、問題文の指示からアメリカ、スウェーデン、フランスの社会保障制度を取り上げろとありますので、この3つの国と日本とを比較して考えます。そして、各グラフから考えるべき内容は三点です。

 
社会保障を給付するのは、国か企業か
②所得格差の大小
③給付と負担のバランスについての国民の意識。

 
以上の点について考えれば例年同様、おのずと日本の社会保障制度のあるべき姿が浮き上がってくると思います。

 
―資料は要点を整理しろ!―

 
まずは、福祉レジーム論を正確に読解して、社会保障政策について3つの型の特徴をつかみましょう。

 
3つの類型のどれかをそのまま日本も採用するべきだ、という小論文ではダメですよ。

 
それでは、ただの模倣となって、日本にとってあるべき社会保障政策とはならないからです。

 
そこで、図1~図3のグラフを分析し、日本にとっての社会保障政策上の課題を見つけます。

 
福祉レジーム論における社会保障政策の3類型

 
①自主義的福祉国家
公的社会保障の対象が、必要最小限の人(貧困層
保障は低水準
多くは、民間の保険会社に加入
社会保障給付に頼らない、個人主義、自助努力が当たり前
所得格差が大きい

 
社会民主主義福祉国家
国民の誰もが社会保障を受ける権利を持つ
所得格差は小さく、平等化
社会保障事業は、国家が担う
社会保障給付の水準は高い
現役世代の給付が厚い
給付は現物給付(現金ではなくサービス)が多い

 

保守主義福祉国家
所得再分配政策を重視するも、保障の機能は、家族、企業などが担い、国家はその補完をする
職域ごとの社会保険制度が充実
職業的地位によって格差有り
所得格差は中程度
給付と負担の程度も中程度
給付は高齢者向け
現金給付が多い

 
以上のように、3つの特徴を掴んだら、図(グラフ)を分析しよう。

 
―グラフは必要なところだけを読み取り、論述に使え!―

 
図1→日本はジニ係数スウェーデン、フランスより高い(=格差は大きい)日本人の71.5%の人が「所得の格差が大きすぎる」と思っている

 
図2→日本人の52.1%の人が、「所得の格差を縮めるのは、政府の責任である」と思っている

 
図3→日本人は、4割以上の人が社会保障負担をある程度引き受けてもよいという意識を持っている

 
日本の社会保障制度のあり方について考えるのであれば、まずは日本についてわかることを読み取りましょう。ここまで分析できるといろいろ見えてくる!

 
―資料分析から「考える」―

 
冒頭にあげた3つのポイントをここで考えます。

 
社会保障を給付するのは、国か企業か社会組織か(家族、互助組織)
②所得格差の大小
③給付と負担のバランスについての国民の意識。

 
①日本は5割以上の人が所得格差の責任を政府に求めているから、 社会保障制度は国家が主導していったほうが良さそう。現行の社会保障制度もそうなっていますね。

 

②日本人は所得格差が大きいと感じていますね。社会保障の負担が大きいと個人の所得を圧迫し、所得格差は大きくなります。

 
③4割以上の人が社会保障について負担をある程度引き受けてもいいと思っていますね。

 
②との兼ね合いから給付の仕方を工夫する必要がありそうです。

 
①~③から分かること

 
社会保障負担について

 
国家が社会保障負担をある程度国民に求めつつも、所得による不平等感が生まれない社会保障制度が望ましい。ここまで導き出せたら、あとは給付の仕方を考えられるといいですね。

 
その際に参考にするべきなのが、要点を整理しておいた福祉レジーム論における社会保障政策の3類型というわけです。

 
ここからは皆さんも考えてみてください。考えた上で、解答例を見てみてください。

 

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平成30年度 東京都立日比谷高校 推薦選抜にもとづく選抜 小論文―解答への導き&模範解答―

 

平成30年度 東京都立日比谷高校 
推薦選抜にもとづく選抜 小論文

 

―解答への導き―

 
問題はこちらより。

www.hibiya-h.metro.tokyo.jp

 


解答例

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―問―

 
図1は、
世界5か国の年間平均降水量を示したものである。

 


図2、図3は、それらの国の水資源量と、水資源量のうち実際に使用した水の量である
水資源使用料を示したものである。

 
図4、図5は、それらの国の国土面積と人口に関する資料である。

 
また、図6は、安全な飲料水を手に入れられる人の割合を示したものである。これらの図をもとに、次の問1と問2に答えなさい。

 

問1

図1~図4から、他国と比較した日本の水資源量の特徴を示したうえで、図5から、水資源量を国民1人あたりに換算した場合の現在の日本の特徴と、今後予測される変化について、200~240字で説明しなさい。

 

問2

地球上の水資源問題の特徴について、図1~図4から読み取ることのできる側面と、図5から読み取ることのできる側面の両面から説明し、さらに図6も参考にして、安全な飲料水を手に入れられる人の割合が少ない国に対して日本としてできることについて、あなたの考えを320字~360字で述べなさい。

 

 

―総評―

 
H30年度の問題は、水資源利用のあり方を問う問題でした。水資源利用問題もこれから課題となる世界的テーマです。H29年度の社会保障制度についての問題もそうだったように、近年の日比谷高校の問題は、社会的問題、グローバルな問題を数値とともに考えさせる傾向があります。したがって、推薦入試を受けると決めたら、時事問題等についてまとめられた本を、
一通り目を通しておき、自分だったらその問題をどのように解決するか考えておくと、解答しやすくなります。

 
世界の水資源についての資料の分析を行う問1と、水資源利用の課題についての解決策を問われる問2から構成されています。複数の資料の特徴を短時間のうちでおさえ、さらに問2では
「安全な飲料水を手に入れられる人の割合が少ない国に対して日本としてできること」を、ファクトベースで発想し、提示しなければなりません。

 
これを50分間で解答することを考えると、H29年度の社会保障制度についての問題に引き続き、日比谷の問題はなかなかハードな問題だったと言えます。

文章作成技術はある程度身につけられたとしても、資料分析法や発想法を鍛えておかないと
日比谷の問題は簡単には解答できないと思います。

 

―問1 攻略法―

 
【設問の指示に愚直に従い、資料の分析をコンパクトかつ的確に行え!】

一見すると字数のわりに、指示が多い設問に見えます。つまり、

 
①他国と比較した日本の水資源量の特徴を説明したうえで
②図5から、水資源量を国民一人あたりに換算した場合の現在の日本の特徴と、
③今後予測される変化について

 
という3ポイントについて説明する必要があります。

 
設問の指示には愚直に従ってください!一つでも要件を落としたら、減点か得点できないと思っていたほうがいいです。上記の3ポイントを押さえるための資料分析を行う必要があります。ただ漫然と資料を眺めているだけではダメですよ。

 

ポイント①

 
水資源量の特徴を説明する必要があるのだから、図2をまずは見る必要がありますね。 
水資源量が突出して豊富なアメリカ、カナダと、それに比べると豊富とは言えない日本、フィリピン、ナイジェリアに分けられますね。だから、アメリカ&カナダと、日本の水資源量を比較するのが妥当でしょう。また、フィリピンは、水資源量は日本とさほど差がありませんが、
年間平均降水量については差があることが図1からわかりますので、これも指摘しましょう。また、図4があるので、単位面積あたりの水資源量を算出して、他国と比較することが可能です。

ちなみにこの資料にもとづけば、日本の単位面積あたりの水資源量の割合は113%であり、
他国を圧倒して水資源量は豊富だと言うことができます。(算出の仕方は、省略しますよ。ただの百分率の計算なので。)
他国と比較することが求められているのですから、比較の軸をきちんと立てて、簡潔に言語化していくことが重要です。

 

ポイント②

 
「水資源量を国民一人あたりに換算した場合の現在の日本の特徴」と言われていますので、国民一人当たり換算の水資源量を算出しましょう。図5から現在の日本人の人口をおよそ1億2000万人だと見て、水資源量を人数で割れば一人当たりの水資源量が出てきますね。水資源量が多いアメリカ、カナダもついでに算出しましょう。そして、日本と比較すれば、日本の特徴が述べられます。

 

ポイント③

 
「今後予測される変化」。これは図5を見るとわかりやすい。日本の人口は今後減少傾向にあることが読み取れますよね。少子高齢化が進んでいると聞いたことがあると思います。この人口変化と水資源量を結び付けて考えると、解答の方向はおのずと出てくると思います。上記の3ポイントを240字以内でまとめると、模範解答のような解答ができあがります。

 

 

 

 ―問2 攻略法―

 

【ファクトベースで現実的かつ妥当な解決策を考えろ!】

 
問2の設問の要求は2つあります。

 
Ⅰ:地球上の水資源問題の特徴について、図1~4から読み取ることのできる側面と、
図5から読み取ることのできる側面の両面から説明し

Ⅱ:図6も参考にして、安全な飲料水を手に入れられる人の割合が少ない国に対して日本としてできることについて、あなたの考えを述べなさい。

 
Ⅰは問1と同様の資料分析の問題です。

 
問1では日本の水資源量の特徴を説明する必要がありましたが、問2では地球上の水資源問題の特徴を説明します。視点を広げる必要があります。

 
まずは、図1~図4をじっと眺めて、地球上の水資源にはどのような特徴があるか考えてみてください。模範解答では、以下の2点を指摘しています。

 
①国によって水の流入量や水資源の分配・利用には、大きな差があること

 
②地球上の水資源問題の特徴は、水が地域により偏在する資源であること

 
上記2点以外にも、指摘することができます。

 
考えてみてくださいね。

 
続いて、図5から読み取ることができる水資源問題の特徴を考えてみましょう。

 
模範解答では、「世界の人口は将来的に増加傾向が見られ、これに伴い世界の水需要も大幅に増加するという問題」を指摘しています。

 
日本以外の国は、今後、人口増加の傾向が見られます。特に、ナイジェリアなどのアフリカ諸国の人口増加は水資源利用においても課題となり、深刻な水不足も予想されています。最後に図6も参考にして、「安全な飲料水を手に入れられる人の割合が少ない国に対して日本としてできること」を考える必要があります。

 
ここで発想が問われるわけですが、

 
重要なことは、妄想や、現実的ではない解決策を書いてはいけないということです。

 
こうした問題において、思考放棄をして、実現可能とはとても思えない答案を書いてくる生徒を何人も見ています。

 

たとえば、「ミネラルウォーターを大量に買って、アフリカに送る」、「雨雲発生装置を作る」、こういう解答ではダメですからね!

 
それじゃあ、どういう解答がいいんだよ、というのは模範解答を参考にしてもらうことにして、発想の重要な部分である、「ファクトベースの思考」をここでは説明しておきます。

 
ファクトベースの思考とは、fact base 要するに「事実に基づいた思考」なわけです。ここでいう事実とは、具体的な数値や、実際に行われている、あるいは行われた出来事のことです。 
今回の問題に即して考えれば、「安全な飲料水を入手するために、日本は何ができるか」
という課題に答えることになります。いろいろな方向に考えていくことができると思いますが、大切なことは事実に基づいて考えるということです。たとえば、東北大震災では飲料水確保が大問題となり、その後、大規模災害等に対する水供給システム検討が進められました。

 
こうした事実を考えると、日本が世界の水資源利用に貢献できる可能性がいくつか見つかって、解答に活かせることがわかると思います。これが、ファクトベースの思考です。

以上のような思考を展開して、書くべき内容を揃えたら360字以内でまとめる文章作成技術が課題となってきます。これは、訓練して身につけていかなければなりません。したがって、
日比谷の小論文対策は小手先のテクニックでは対応できませんよ。文章作成技術に加え、資料分析法、発想法を身につけていく必要があります。

 

 

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平成30年度 東京都立西高校 推薦選抜にもとづく作文問題―解答への導き&模範解答―

 

平成30年度 東京都立西高校 
推薦選抜にもとづく作文問題

次のことばについて、あなたが感じたり
思ったりすることを六百字以内で述べなさい。(50分)


「問題を出さないで答えだけを出そうというのは不可能ですね。」
岡潔

 

解答例

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解答への導き

H29年度の「世界は『のっぺらぼう』である」(西江雅之)という文章よりは、取り組みやすい問題だったと思います。 
岡潔は、日本を代表する数学者です。多変数複素関数論という分野において大変な功績を残しています。また、『春宵十話』などの随筆も多く残しており、彼の考え方や生き方に触れることができます。出題されている言葉は、人間的魅力にもあふれた懐の大きなこの数学者が、評論家の小林秀雄との対談(小林秀雄岡潔『人間の建設』新潮社)のなかで言った言葉です。 
この対談の中では当然文脈があり、岡がこの言葉で言わんとしていることがすぐわかります。 
しかし、試験では文脈なしにこの言葉だけがポンと出されるわけですから、この言葉を自分なりに解釈していかなければいけないのは、西高校の推薦入試作文のもう伝統ですね。まずは、この言葉を解釈することから始めましょう。

 

ステップ1 課題文を解釈する

 
「問題を出さないで答えだけを出そう」……たしかに、言葉どおりに受け取れば、
問題が出されなければ答えが出るはずもありません。大数学者である岡が、そんな当たり前のことを言うはずがありません。そこでまず、岡の言葉のここに注目してみましょう。

「答えだけを出そう」

 
昨今、日本では「結果=答え」を出すことのみを評価する傾向にあり、企業などでは結果を出す実力を持った人が評価される「成果主義」を採用するところも増えました。しかし、適切な課題や問題を見出さなければ、「結果=答え」は出ません。たとえば、試験勉強のときに、
指定の試験範囲とは異なる、間違った問題を解いていたら、試験で結果は出ませんね。

 
あるいは、英語のテストの点数が悪いとき、「どうして英語の点数が伸びないのか」という問題/課題よりも、「自分が点数を取れていない長文の問題で得点するにはどうしたらいいか」
という問題/課題の立て方のほうが具体的であり、対策がしやすくなるため、結果を出すことができます。こうした例をもとに、岡の言葉を考えてみてください。

 
岡が言っているのは、

 
「適切な課題/問題を出していないのに、
答え=結果を求めるなんてことはできない」

 
というように解釈することができます。

 

ステップ2 解釈にもとづいた自分の主張を行う

以上のように、岡の言葉を解釈できたら、岡の言葉を受けて、自分の主張を考えていきましょう。模範解答では、答えを出すことを追い求めるばかりではなく、そもそも「問いそのものを立てることが重要である」という主張を行っています。

 
どのような主張を行うかを考え、なぜそのように考えたのか、理由を説明しましょう。また、どのような主張をしても構いませんが、その主張を行う理由・根拠を説明する必要があります。

 
小論文/作文では、何かを主張したら必ずセットでその理由・根拠も述べるようにしましょう。

 

ステップ3 主張についての具体例を挙げよう

自分がしようと考えている主張を的確に示す例を考えましょう。独創性というのは、ここで表現します。独創性というと、「誰も考えつかないような素晴らしい考え」や「これまでになかった考え」を示さなくてはいけないと考える生徒が多いようです。こうした考えに振り回されて、突飛な考えや奇をてらった考えを書いてくる生徒がよくいます。しかし、小論文/作文で表すべき独創性とは、そうではありません。

 
自分の主張に対して、自分が考えた適切な具体例を示すことが独創性なのです。

 
具体例については、いろいろなことが考えられます。したがって、自分独自の例を挙げることが独創性を表現することになるのです。そして、重要なことは、自分の主張をきちんと体現する具体例を示すことです。何を示すための例なのかを考えて、主張を支持する例を挙げましょう。

 
模範解答では、「AIに対する問いの立て方」を例として挙げることで、主張を例証しています。以上の3ステップを踏まえて、最後に簡潔な結論を述べれば、模範解答のような答案ができます。

 
参考までに

 
小論文対策として、この課題の小論文を書いていない受験生は、以下の文章を見ないほうがいいです。岡の言葉が出てくる文脈がわかってしまうからです。この課題文の岡の言葉が出てくる箇所を引用しておきます。

 


岡:
フランスへ行きましたのが一九二九年から一九三二年、そのころまでは数学のなかのどの土地を開拓するのかということはきまっていなかったのです。フランスに三年おりました間に、その土地を決めた。土地を選んだということは、私に合った数学というものがわかっておったのでしょうね。そこまでいくと、はっきりした形では言えませんが、以後三十年余りその同じ土地の開拓をやっているわけです。

 
小林:
それはどういうことですか。

 
岡:
その当時出てきていた主要な問題をだいたい解決してしまって、次にはどういうことを目標にやっていくかという、いまはその時期にさしかかっている。次の問題となるものを作っていこうとしているわけです。

 
小林:
今度は問題を出すほうですね。

 
岡:
出すほうです。立場が変わるのです。中心になる問題がまだできていないというむつかしさがあるのです。

 
小林:
ベルグソンは若いころにこういうことを言っています。問題を出すということが一番大事なことだ。うまく出す。問題をうまく出せば即ちそれが答えだと。この考え方はたいへんおもしろいと思いましたね。いま文化の問題でも、何の問題でもいいが、物を考えている人がうまく問題を出そうとしませんね。答えばかり出そうとあせっている。

 
岡:
問題を出さないで答えだけを出そうというのは不可能ですね。

 
小林秀雄岡潔『人間の建設』新潮文庫、pp.69-70.

 


以上のような文脈で、岡の言葉が発せられているわけです。ベルグソンというのはフランスの哲学者です。ベルグソンの言葉を小林が紹介して、それに応答する岡の言葉なのです。小林が紹介するベルグソンの言葉「問題をうまく出せば即ちそれが答えだ」を、いくぶんひねって表現した非常に示唆的な言葉です。ここを出題してくる西高校出題担当者の方、いつかお話してみたい(笑)。上から目線で申し訳ないですが、素晴らしいセンスです。こんな先生方に教わることのできる西高校の生徒は、羨ましいなぁと思います。

 

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平成31年度 東京都立西高校 推薦選抜にもとづく作文問題―解答への導き&模範解答―

平成31年度 東京都立西高校 

推薦選抜にもとづく作文問題

 

次のことばについて、あなたが感じたり

思ったりすることを六百字以内で述べなさい。(50分)

 

「数について何かを発見するためには、

数を転がして、ころころと手のひらで

弄(もてあそ)ぶことが一番重要なんです。」

 

藤原正彦

 

解答例

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解答への導き

 

H30年度の岡潔に続き、H31に出題された言葉も藤原正彦も数学者であり、二年連続で数学者の言葉が出題されました。この言葉の出典は、

 

藤原正彦/小川洋子

『世にも美しい数学入門』

(ちくまプリマー新書、2005年)

 

であり、 この本は、数学者の藤原と作家の小川の対談集です。

 

例年どおり、まずは藤原正彦の言葉を解釈する必要があります。ポイントになるのは、「数を転がして、弄ぶ」という表現です。これが一体に何をすることなのか、具体的に想像できるかどうかが鍵となります。

 

ステップ1 課題文を解釈する

 「数を転がして、弄ぶ」とは具体的に何をすることなのだろう。数を扱うわけですから、実際に数を足したり、引いたり、掛けたり、割ったりすることだろうと考えられると思います。そうした操作を行って、数をいじくりまわしていくうちに、何らかの規則性に気がつき、法則を見つけることができる。藤原正彦のことばは、このようなことを言っているのだと理解できます。つまり、数について、弄ぶ、いわば遊びながら、いろいろな操作を行って、試行錯誤を繰り返すことが大切だと言っているのだということがわかればよいでしょう。

 

ステップ2 解釈にもとづいた自分の主張を行う

以上のように、藤原正彦の言葉を解釈できたら、彼の言葉を受けて、自分の主張を考えていきましょう。上記の理解にもとづいて、今度は数についてだけでなく、この言葉を一般化できるかどうか検討できるとよいです。模範解答では以下のように一般化しています。

 

したがって、この言葉は、ある対象に対して重要な発見をしたり、できなかったことをできるようにするためには、いわば自分で遊びながら試行錯誤することが大切だと言っていると理解できる。

 

このように、課題のことばを自分なりに一般化して示すことで、自分の主張としましょう。

 

ステップ3 主張についての具体例を挙げよう

自分がしようと考えている主張を的確に示す例を考えましょう。独創性というのは、ここで表現します。独創性というと、「誰も考えつかないような素晴らしい考え」や「これまでになかった考え」を示さなくてはいけないと考える生徒が多いようです。こうした考えに振り回されて、突飛な考えや奇をてらった考えを書いてくる生徒がよくいます。しかし、小論文/作文で表すべき独創性とは、そうではありません。自分の主張に対して、自分が考えた適切な具体例を示すことが独創性なのです。具体例については、いろいろなことが考えられます。したがって、自分独自の例を挙げることが独創性を表現することになるのです。そして、重要なことは、自分の主張をきちんと体現する具体例を示すことです。何を示すための例なのかを考えて、主張を支持する例を挙げましょう。模範解答では、「ピアノ演奏における演奏技術の習得」を例として挙げることで、主張を例証しています。以上の3ステップを踏まえて、最後に簡潔な結論を述べれば、模範解答のような答案ができます。

 

参考までに

小論文対策として、この課題の小論文を書いていない受験生は、以下の文章を見ないほうがいいです。藤原の言葉が出てくる文脈がわかってしまうからです。この課題文の藤原正彦の言葉が出てくる箇所を引用しておきます。

 

 

藤原:
そりゃあそうですよ。研究が進まないときは本当に苦しいですもんね。

 
小川:
数学者の方々の研究の苦しみっていうのは、つまり、ゼロか完全かどっちかですものね。

 
藤原:ここまできましたっていうんじゃ価値がない。完璧になぎ倒さないといけないんですから。たいていの場合なぎ倒せないわけですよね。数学者というのはどんな天才でもある意味で劣等感の虜と思いますよ。いつでも欲求不満。だから、僕も息子が三人いますが、数学者だけにはなってほしくないと内心思っています。

 
小川:とても優秀な息子さん方で、そしてハンサムなんですよ。ジャニーズにスカウトされそうになったお子さんもいらっしゃるとか。ところで、数学的な発見をするためには、何が大事なんですか。

 

藤原:数について何かを発見するためには、数を転がして、ころころと手のひらで弄ぶことが一番重要なんです。足したり、引いたり、ひっくりかえしたり、想像したりね。そうすると、もしかしたらこうかなという、ちょっとしたきっかけが見つかり、そこから大胆にいろいろ実験してみて、本当そうだったらいよいよ証明にかかる。証明になったらたいていの場合、もう赤子の手をひねるようなものです。そこまで、いろいろ弄ぶんですね。弄ぶというのは、独創に非常に良い影響を与えます。たとえば美しい文章を読んで理解していても、その人の宝石にならない。暗唱したり、思い出して口ずさんだり、言葉を弄ぶというのが重要だと思いますね。だから、図形で発見したければ図形を弄ぶことです。ああでもないこうでもないと、いろいろ図形を描いて考えながら遊ぶことですね。

 
藤原正彦/小川洋子『世にも美しい数学入門』

(ちくまプリマー新書、2005年、pp.71-72.)

 

 

・出典の「ちくまプリマー新書」について

ちくまプリマー新書は、中高生向けの新書であり、通常の新書よりもベーシックかつ普遍的なテーマを扱ったものが多いです。大事なことは、このちくまプリマー新書を出典とする国語の問題や、大学入試におけるAO・推薦入試のレポート課題用の課題文献として出題されるようになってきているということです。都立西高校、都立日比谷、進学重点校を目指す諸君は、ちくまプリマー新書を読んでおくことを強く推奨いたします。

 
ちくまプリマー新書https://www.chikumashobo.co.jp/special/primer300/




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平成31年度 東京都立日比谷高校 推薦選抜にもとづく選抜 小論文―解答への導き&模範解答―

 

平成31年度 東京都立日比谷高校 

推薦選抜にもとづく選抜 小論文

 

―解答への導き―

 

問題はこちらより。

www.hibiya-h.metro.tokyo.jp

 

解答例

note.com

 

―問―

次の枠に囲まれた文章は、フランス革命期(1789~1799年)において、当時のフランスの言語状況に関する問題を提起する議会での演説である。フランス革命歴史学研究において、身分制社会にもとづく地方分権の社会であった近世という時代から、人間の自由と平等の原則にもとづいて中央集権型の国家を目指す近代という時代への転換期と位置づけられており、日本の歴史に例えるならば1868年の明治維新に相当するものと言える。そのフランス革命期には、ほかにも、古い行政区画(旧州)の廃止や、メートル法の採用などさまざまな改革がおこなわれていた。また、フランス革命には、フランス取り巻く国々との間で常に戦争状態が続いており、自由と平等というフランス革命の原則を達成するためには、対外戦争に勝利する必要があったことにも注目する必要がある。次の問1と問2に答えなさい。

 

問1 枠に囲まれた文章を読み、フランス革命当時のフランス社会において、30もの地方語があることがなぜ問題とされているのだろうか。図1を参照しながら、80~100字で説明しなさい。

 

問2 枠に囲まれた文章の状況から約70年後のフランスの言語状況を示す図2を見て、枠に囲まれた文章のような状況から変化があったのかどうかを明記したうえで、自分が1863年当時のフランスにおける首相であったならば、何を目的として、どのような政策を実行するのかを考えて、460字~500字で論じなさい。その際、その政策をおこなうことによって生じる長所と短所をそれぞれ一つずつとりあげて説明すること。

 

 

―総評―

H31年度の問題は、フランス革命期のフランスにおける言語政策のあり方を問う、非常に面白い問題でしたね。フランスの首相としてどのような政策を行うのかが問われます。問題を考えるスケールが大事です。とはいえ、資料から状況を読み取り、何をするべきか、どのような課題を見出して、どのような解決策を考えるかを説明するという点では、概ね例年どおりの形式だったと思います。大事なことは、こうした問題に「解いたことがない、考えたことがない!」といちいち慌てるのではなく、冷静に何を記述させようとしているのか、出題者から何を求められているのかを意識して問題を読み、課題を的確に判断する力です。

 

しかし、これを50分間で解答することを考えると、昨年度も日比谷の問題はなかなかハードな問題だったと言えます。文章作成技術はある程度身につけられたとしても、資料分析法や発想法を鍛えておかないと日比谷の問題は簡単には解答できないと思います。

 

 

 

―問1 攻略法―

広い意味で理由説明問題の一種と言えます。「なぜ」が問われているので、その理由を資料、文章から過不足なく示す必要があります。

 

「枠に囲まれた文章」から読み取るべきこと

・30もの地方言語があるせいで、

  • 600万人のフランス人が国民言語を知らないことフランス語の読み書きのできるフランス人が300万人もいないこと

 

 

図1から読み取るべきこと

 最も注目するべきは、「義勇兵はフランスの様々な地域から集められていた。」という一文でしょう。そして、上記のように、当時のフランスの様々な地域では、国民言語としてフランス語が通じない。したがって、言葉が相互に通じない、あるいは通じる言語を持たない「国民」が義勇兵(というか多種の民族の寄せ集め)となって、ヨーロッパの諸国を敵に回してよく戦争ができるな!、というツッコミができるかどうかが、実はこの問題に解答するためのキーです。(しかし、時はヨーロッパ戦国時代!封建制や王権制を打ち破り、自由と平等という原則の達成を共通の目標としていたフランス国民たちは、多少言葉が通じなくてもこの目標の達成に向けて雄々しく戦ったのでありましょう!)

 

言葉が通じなければ、ヨーロッパ諸国と戦争するにあたって支障をきたすことが容易に想像できると思います。したがって、この点を理由として提示すれば、模範解答のよう解答ができます。

 

 

―問2 攻略法―

設問の指示を確認しましょう。

 

a.フランス革命期から70年後の言語状況を示す図2を見て、革命期からの変化を明記する

 

b.自分が当時の首相だったら、何を目的として、どのような政策を実行するのかを論じる

 

c.その政策を行うことによって生じる長所と短所を一つずつ説明する

 

まず、設問の要求には必ず従ってください。設問の要件を満たさなければ、完答となりえません。また、上記a,b,c以外のことを書けばアウトだと思ってください。

 

a.について

 30もの地方言語が存在し、読み書きもろくにできない国民が数百万単位でいたフランス革命期から70年後はどうなっているのか、図2から読み取れることをまとめましょう。

 

図2から読み取れること

・「住民がすべてフランス語を話す県」が全県のおよそ半数になっている

 

・「ほとんどだれもフランス語を話さない県」が16県ある

 

・フランス南部では、国民言語としてのフランス語の普及が進んでいない

 

b.について

 ここは、受験生がいろいろ考えてもらいところです。ただし、「対外戦争に勝利する必要があった」という必要性から考えれば、一定の方向性が見えてくると思います。以下は、模範解答作成時のプロットからです。

 

実行するべき政策:

 フランス語の普及を狙った語学教育の実施

 

目的:

 ・国内におけるフランス語の普及を徹底する

 

・「ほとんどだれもフランス語を話さない県」などを中心に、フランス人であることの自覚を促し、フランス人として国政や地方政治に参加してもらう→中央集権国家としてのフランスの体制を盤石なものとする

 

c.について

フランス語の普及を狙った語学教育政策の長所、短所

 

長所:国民言語が全県に普及すれば、近代国家の成立に役に立つ

短所:地方言語が使用されなくなることによって、地方の文化が失われる

 

長所、短所を説明する際には、その理由・根拠も示すようにしましょう。

 

 

以上のような思考を展開して、書くべき内容を揃えたら500字以内でまとめる文章作成技術が課題となってきます。これは、訓練して身につけていかなければなりません。したがって、日比谷の小論文対策は小手先のテクニックでは対応できませんよ。繰り返しますが、文章作成技術に加え、資料分析法、発想法を身につけていく必要があります。



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